職場でお世話になった先輩が定年退職を迎えるとき、部署みんなで何か記念になるものを贈りたいと話し合いました。花束や商品券も候補に上がりましたが、後から見返せるものを残したいという声が多く、最終的にメッセージボードをつくることになりました。
幹事役を任された私は、どうすれば20人以上のメッセージを一枚にまとめられるか、ゼロから考えることになりました。まず試みたのは、全員にメッセージを書いてもらった紙を集めてスキャンし、デザインソフトで一枚のファイルに並べる方法です。書き方がバラバラでも、それがかえって手作り感になると思ったのです。
レイアウトを整えて完成したデータは、A1サイズでも文字が十分読めるほどの解像度がありました。大判印刷の業者を調べてみると、このサイズに対応しているところが複数あり、光沢紙やマット紙など用紙の種類も選べることがわかりました。
仕上がったものを額縁に入れて贈呈式に持っていくと、先輩は受け取った瞬間に言葉を失っていました。一人ひとりの筆跡がそのまま残っていることが伝わったのでしょう。その場で全員のメッセージをゆっくり読んでいる姿を見て、大判で印刷して本当によかったと思いました。
A4一枚に縮小したものとは、存在感がまるで違います。あとから先輩に聞いたところ、自宅の壁に飾っているということでした。デジタルデータとして送るだけでは得られない、物としての重さや温かみが、大判印刷には宿っているのだと感じました。贈り物の選択肢として、こうした形はもっと広まってもいいと思っています。次に誰かの門出を祝う機会があれば、また同じ方法を使いたいと考えています。
