ボランティアの夏

大学2年の夏、被災地の復興ボランティアに参加した。東北の小さな町で、泥かきや家財の片付けを手伝った。初めての経験で、最初は「自分に何ができるんだろう」と不安だった。現地に着くと、想像以上の被害に言葉を失った。

家が流され、思い出の品が泥に埋もれている。住民のおばあさんが「若い人が来てくれて嬉しい」と涙ながらに握手してくれた時、胸が熱くなった。作業は過酷で、汗と泥にまみれ、筋肉痛で夜は眠れないほど。それでも、仲間と冗談を言い合いながら進めた。

一週間後、片付けた家の前で住民さんが「ここでまた暮らせる」と言ってくれた。ボランティアは、助ける側が助けられる経験だと気づいた。帰りのバスで、仲間と「また来よう」と約束した。あの夏の経験は、今の私の価値観の基盤だ。困っている人に手を差し伸べる勇気を、ずっと持ち続けたい。

投稿者 belmedia